ハードワークによる医療業界の人手不足

深刻な専門医の人手不足

現在、医師の供給には偏りがあり特定の病気や病状への対応ばかりを専門(得意)とする医師ばかりが輩出されています。例えばコンタクトレンズの販売に紐付いた眼科医などはその典型といえるでしょう。医師の仕事の本分はもちろん人助けではあります。しかし、自ら開業をする立場であれば医師としての視点以外に病院経営者としての観点も求められます。その観点からいえば、負担も大きく収益性も良くない分野よりも、少ないコストや負担で収益性も大きく需要も大きいという分野に注力したくなるのは人情でしょう。
そのため、既に社会問題になっていますが業務の負担が大きくその上訴訟リスクも大きい小児科などは医師のなり手がいません。小児科などの専門クリニックもどんどんその数を減らしています。そして、その結果生じている問題が小児科や産婦人科などを中心とした深刻な医師の人手不足とハードワークの常態化です。また人手不足による負担の増加がさらなる人手不足を招くといった悪循環が生じています。

高齢化社会によって生まれる限界

多くの方がご存知のように、日本は世界でもトップクラスのスピードで少子高齢化が進んでいます。このままいけば、あと10年ほどで超高齢化社会にまで行き着いてしまうでしょう。そして、そのような社会の変化も医療・介護業界のハードワーク化や人手不足に関係してきます。
それだけ高齢者が増えれば、それに見合う対応が必要です。そして高齢者が若年層に比べて介護や医療を必要とする度合いが大きいことは火を見るより明らかです。このことは医療費の増大による国家財政の悪化や、医療保険制度に与えるダメージと信用不安から個人の生活設計にも影響を与えるなど様々な困難の要因になることが予測されます。そして最も分かりやすい問題は、医療現場の人手不足がより一段と酷くなるということでしょう。なにしろ、需要は増えるにもかかわらず少子化による人手不足も重なるのです。

介護業界の実情

医療業界だけでなく介護業界の人手不足も深刻です。まず少子高齢化の進展は、介護業界においてもサービスを必要とする高齢者の増加と仕事に就く人材確保の難化を意味します。事実として介護業界は拡大傾向にあり、主要企業の売上高の合計は7000億円にもなっています。
しかし、このようなニーズの高まりに比例せず、労働現場としての介護はハードワークであるにもかかわらず高報酬ではありません。そのため、働き口としては依然人気がありません。介護業界の現場で働き抜き活躍をしていくためには、大変強い目的意識や大きなやる気が必要です。しかしそのような強い思いを持つ人はあまり多くは存在しません。だからこそ仕事環境や待遇を改善し、働く人にとっても望ましい業界へと進化を遂げていくべきでしょう。